「俺たち2」管理人による戯言
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夜露に濡れた花束
幕張ベイタウンの脇を走る海岸道路にも悲しい事故があるのだ

いくら猛暑とはいっても、8月もさすがに下旬になると朝の涼しさにはびっくりしてしまう。昨日、今日は特に涼しかった。贅沢なもので、あれだけ早く涼しくならないか、などと思いつつも未明の寂しげな虫の声を聞いていると、もう一度夏に戻らないか、と思ってしまうのである。

数日前だったか、いや、1週間くらい前だったか、その日はほぼ徹夜で締め切り間近の仕事と格闘していた。朝方になると、どんどん効率が悪くなってくるので、いっそ気分転換にと外に出た。5時前なので、殆ど人には会わずにぶらぶらと海へ向かって歩く。海岸沿いの広い道もクルマの量が少ないので、片側3車線の道を横切ることは容易だった。空は紫色になっていた。

ベイタウンを左に見て、海辺の歩道を花見川に架かる美浜大橋へ向かって歩いた。殆ど机にかじりついていたので、頭がぼーっとしている。高校生の頃の受験勉強をしていて夜明けになった時の雰囲気に似ている。但し、あの頃と違って、かなり肉体的に衰えている。雲の上を歩いているようだった。

少し歩いたところの路肩の緑地帯、椰子の木の根元に、花束がいくつか花瓶に生けてあった。そして、その周りにはお茶やシュースなどのペットボトルが20本くらい置かれていた。誰かがここで亡くなったのだ。交通事故だ。そのすぐ近くの道路の上にはまだ白墨の跡が残っていた。




事故現場。昨年の8月の夕方に撮影。右側が海である。

そういえば、数年前にも美浜大橋のところで事故があって花束が置かれていた。交通事故は全国どこにでも、そして四六時中起きている。ベイタウンの近辺で事故があってもおかしくない。しかし、さすがに自分たちの住んでいる近辺で事故によって人が亡くなっているのはあまりいい気持ちではない。

もちろん、その亡くなった方はまさかこの地で果てるなど、想像もつかなかっただろう。まして、私のように仕事の徹夜明けでふらふらになったおっさんが、散歩がてらに事故現場の花束を横目で見て通り過ぎるというシチュエーションなども想像しなかった筈だ。

人はいつ果てるかわからない。無事に天寿をまっとうする人生もあれば、不慮の事故で突然亡くなることもある。今年2月に事故死(水死)した鈴木真君のように、日中は何事もなく上野でパイプオルガンのコンサートを聴きに行き、そしてその夜に亡くなるケースもある。やはり。私の友人の登志也は、大学卒業したその年、就職して3ヶ月の前途が光輝いているその最中に交通事故で亡くなってしまった。

海は波もそれほど無く、穏やかだった。空気はどんよりしていた。これから暑くなるようなそんな感じだった。それでも海風は心地よい。美浜大橋の上で深呼吸して、それから再びベイタウンに戻る。先ほどの花束の前を通らないで、反対側の歩道を歩いた。帰宅してからは夜露に濡れた花束のことはまったく忘れていた。

今朝、再び早朝散歩をした。夜中に雨が降ったのか、道路脇の雑草が濡れていた。美浜大橋に向かって歩く。歩いているときに例の花束を思い出した。今朝のルートは道の反対側。しかも未だ薄暗いのでよくわからないが、どうやらまだ花束があるように見えた。遺族なのか友人なのか、時々花束を交換しているのだろう。

そういえば、鈴木真君の墓にも、また事故現場にも行っていない。事故現場にはまだ彼の遺体が揚がる前に一度行ったきりだ。仕事の忙しさにもかまけていたのもあるし、猛暑を避けていたのもある。少し時間が出来たら行ってみたい。

2007/8/29
しばざ記 285

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