「俺たち2」管理人による遠距離電車マガジン

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さよならウエストミンスター

自戒を込めて書くが、「ギターがいくら好きでも、何本も買っちゃだめです!」。邪魔だし、最悪の場合、家族から見放されます。

という書き出しで始めたい。「ギターにハマる」というタイトルで3つ続けたが、そろそろこのシリーズは辞めにしたい。そもそもギターは楽器であり、単に好きだけじゃなくて、音楽として、楽器としてどれだけ思いいれがあるのか、という資質が所有者に求められているのだということを改めて痛感してきた。(このことについては、別途語りたい)

このところ、にわかにアコースティックギターばかり立て続けに買っていた。どれもが私にはマッチしないと思い、更にベストマッチを探すべく新しく購入などと安易に本数を増やしていった。すると恐れていた置き場所に困ることになる。不必要なギターはどんどん処分してゆかざるを得ない。

私のちょっと好まないギターをまずは売却することに決め、オークションに出してみた。しかし、購入価格より大幅に下回ることが許せなくて、ついスタート価格を高めにしたら、ウォッチリストには数多く入れてもらったのに、結局入札ゼロで終わった。

んんん、売れないもんだ、と思っていたら、Eさん(ギター好き、でも今は持っていない)が、「もしよかったら安いけど買うよ。」と言ってくれた。オークションで高く売れることも嬉しいが、ギターの場合、次に使ってくれる人のことを考えてしまう。Eさんなら大事に使ってくれそうだ。

そこで、Eさんに自宅まで来てもらって、試奏してもらった。Eさんは簡単なフレーズを弾きながら、暫く唸っていたが、突然、「いいギターじゃない、これ売るの勿体無いよ。」と笑顔を私に向けた。Eさんがどれほどのギターの使い手か分からないが、少なくとも簡単なフレーズ(といっても、私には至難の業だった)を聴いたかぎりでは、私の100倍以上うまいということは明らかだ。そんな彼に褒めて頂いたので、猛烈に嬉しかった。

私はさっそく、まるで嫁に出す父親の気分で、徹底的にギターを磨くことを決意した。するとEさんは、「い、いや、磨かなくて結構。そのまんま貰ってゆく。僕はまずライブなんてやらないし、家でこっそり弾くために買うのだし、それに、僕は掃除なんてしないと思う。ギターは眺めて喜ぶんでも、見せて喜ぶものでもなく、僕にとって、いい音で鳴ってくれればいい。」と言った。

Eさんほどの腕のある人が人前でギターを弾かないなんて勿体無い話である。だが、人に聴かせる趣味は無く、自分でうっとりして自己満足だけに留まりたいということなのだ。偉いっ!なんと謙虚な人なんだろう。私はドヘタのくせに人前でつい弾きたくなるのに、この人は全く逆なのだ。

彼の話を聞いてみると、高校から大学にかけてはフォークに凝りに凝っていて、都内のフォーク喫茶なる薄汚いお店で1週間に1度くらいのペースでライブをやっていたのだそうだ。
「最初は仲間がサクラとなってお客さんだったのですが、そのうち飽きられて、お客さんはたった一人とか、誰もいないとか、になってきて、で、やめました。腕も上達しなかったし、やってた音楽が古い、というかブルーグラスなんかで、当時は、どちらかと言えばロックが主流でしたから。」

即ち、その後二十数年間は自分のギターを所有したことが無いらしい。今回私の呼びかけがたまたまEさんの眠っていたギター弾きの魂を動かしたようで、ずいぶん久しぶりのオーナーになることを決意させてしまったのだ。

Eさんは、私の所有しているギターを次々に試奏してくれた。アコースティック専門なので、これはどうかと思って、例のウエストミンスター(レスポールモデル)を手渡したら、暫くしげしげと眺めて。「これねえ。僕も持ってました。しかも、チェリーサンバーストまで同じ。あの頃って渋い色よりむしろ、こんな派手目なほうが人気あったのですよね。」と驚くようなことを言った。

そして彼はアンプに繋がないで、70年代のロックを次々に演奏した。決めた!!私は彼にそのウエストミンスターを買ってもらうことにした。いや、もう無料でもいい。ところが、Eさんは、「いや、これはやめときます。僕はやはりアコースティックのほうが好きだし。このギターの思い出があるけど、本当のオーナーがちゃんといつまでも持っていたほうがいいと思いますよ。今はもう無いブランドだし、当時は安かったけど、材質もいいし、音もいいから、絶対に売らないほうがいいですよ。」と語った。

うーむ。本数を減らすという主旨で来て頂いたのに、逆に所有していろなどと反対のことを言われるとは思わなかった。まあしかし、初めてウエストミンスターをいいギターだ、などと評価してくれる人が出てきたことは、嬉しかった。しょうがない、一生面倒見てやるか。

嬉しい反面、じゃあ、使わないのに家に置いておくのはシンドイ。どうしよう、などとまたまた悩みが再発。仕方ないので、元々実家に置いてあったものだから、もう一度実家に持ってゆくしかないな、という結論に至った。

実家に置くというのは、ある意味で「死」に近い長い眠りを意味する。実家はそう遠くないので、立ち寄る頻度は多いのに、ギターなど普段あまり使わないものは必然的に物置の奥に仕舞われる。そうすると、引っ張り出すのが困難なために無いのも同然という状況にある。

先ほど、ギターを嫁に出す、という表現を使ったが、ウエストミンスターの場合には当てはまらない。刑務所に息子を送り出すつもりで、最後の手入れをした。そのときの写真が下だ。これから再び長い眠りにつき、次に目覚めるときは、いつになるか分からないけど、しっかりと再開を誓い、ハードケースの蓋を閉じた。今度実家に行くときまでは私の部屋に立てかけてある。



2004/11/24




千葉駅伝


自分の家の前を選手が走るのって、なんか不思議。
毎年、特等席に観ている。

2004/11/23




11月25日の空


いかにも秋って様相ですなあ。
なんとなく感傷的になったりして。



早くも赤坂プリンスホテルにはクリスマスツリーが・・・。

この日、つばみさんからある人物をご紹介頂けるということで、赤坂まで出向いた。



つばみさんと。

2004/11/25




ガーデンウォークでライブ 


海浜幕張駅前の三井アウトレットモールで、ベイ中のライブをやらせて頂いた。
いや〜、たくさんのお客さんに集まってもらって有難いっすね。



こちらはタッキー&リコちゃんがボーカルのバンド。

2004/11/28

しばざ記 Vol.99


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