「俺たち2」管理人による遠距離電車マガジン

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訃報・・・QPさんの突然の死

お酒が好きで、檄辛料理が好きで、辛辣でありながら、いつも明るく、理知的だけど豪放なQPさんが他界された。最初聞いたときには耳を疑ってしまった。まだ若い。それに、失礼だけど、絶対に死なないような人だったのに。そして、素晴らしい女性だった。彼女のファンはたくさんいた。とても、残念で寂しい。
昨年の秋頃、入院したということをご主人からお聞きした。新築のマンションに移って間もなくだ。その後、退院したこともお聞きした。快方に向かっていると私は信じていた。どうして、死ななければならなかったのか。悔しい。

QPさんと私の出会いはもちろん、ご近所同士ということもあるが、ネットを介してである。ご主人のきりんさんと交互にネットに登場していた。ある時、行徳のイタリアンレストランの話題で意気投合し、それから、メーリングリストの飲み会で実際にお目にかかった。女性的な優しさを持つご主人に対し、QPさんは男勝りの歯に衣を着せぬ辛辣な文章を書く。しかし、実際には優しい人だった。茶目っ気たっぷりの少女のような人だった。ご夫婦で仲良く散歩している光景を見るにつけ、ネット上では全く想像もつかないのだが、ちゃんと腕を組んで歩いていた。

彼女は我々が管理している掲示板(俺達のホームページ・言いたい放題)に時々書き込んでくれる。その大抵の情報はグルメ関係だった。食べることが好き。飲むことが好き。そして文章を書くのが好き。仕事もグルメ本のリポーターだったと思う。あるとき、QPさんからメールを貰った。ダイレクトにメールを頂くのは年に数回だけ。今でもちょっとくすぐったい内容であり、人様にお教えする内容ではないのだが、実は、私の拙文である「しばざ記」を褒めてくださったのだ。QPさんほどの文才のあるかたに褒めて頂けるのは光栄である。洒落の分かる方だった。親しさだけで言えば、ベイタウンや近隣の方々には私以上に懇意にされている方々がたくさんいるので、その中のほんの僅かな間隙を縫って褒めてくださったのは感動的ですらある。

おそらく、私とQPさんは同じギャグのセンスを持っていると思う。もちろん、彼女のほうが若くて、頭が良くて、お金持ちで、海外旅行もたくさん経験しているから、総合的なセンスでは私がいくら頑張ったところで勝ち目は無い。だが、常識のラインを疑い、ちょっと皮肉ったり、つまらないことに一種独特の価値観を見いだす能力的なものは私と似ているような気がする。だから、当然私も彼女のファンなのだ。彼女の書く文章が好きだった。彼女には病気が直ったら、是非俺達のホームページのコンテンツを作ってほしかった。

きりんさん、QPさんは散歩が大好きだった。休日にはいつもベイタウンの中を仲良く一緒に歩いていた。二人とも、食べることが好きなので、色々なお店に顔を出していた。また、無類のモデルルーム好きで、ベイタウン近辺や遠く都内や湘南のほうまで歩いていた。QPさんは、絶対に将来は湘南に住みたいと言っていた。ベイタウンもいいけど、湘南は住んでいる人のカラーが違うのだと言っていた。湘南は故郷の熱海にも近いのもあったかもしれない。結局はベイタウンで亡くなった。パークタワーの新居には数えるほどしか住まなかったことになる。これから楽しい日々が続くはずだったのに。

QPさんが亡くなった日はまだ分からない。死因も分かっていない。実は今、お通夜の会場に向かう電車の中で、この文章を書いている。主婦というよりも書くことを生業にしていたQPさんへ捧げる文章としてはあまりにも稚拙で申し訳ない。でも、書かずにはいられない。QPさんへは、これからもメールを送ろうと思っている。あるいは、この「しばざ記」に書いてゆこう。天国で見てくれるだろうか。

今日は久しぶりの雨が降っている。冷たい雨だ。こんな日のお通夜なんて、彼女には全然似合ってない。やはりQPさんも泣いているのか。そりゃそうだよな。まだ死にたくなかったよな。でも、今夜はみんな集まってきてくれるよ。

2004/2/2 16:46 (武蔵野線の中より)

しばざ記 Vol.61


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