単なる中年おやじによる戯言
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TANE  Megumi Fujino

TANE 藤野めぐみ
お薦めは明け方にひとりぼっちで聴くことだ

明け方、ベランダに出て空を眺めてみた。空気が冷たく澄んでいて、恐ろしいほど星が見えた。冬の星座がギラギラと最後の輝きを放っている。やがて、東の空が黒いベールを徐々に剥がしてゆくように明るみを増してきた。

部屋に戻り、藤野めぐみさんの「TANE」(たね)というアルバムを久々に聴いた。妙に心にしみた。ライナーノーツの彼女が書いた文章に、「明け方の蒼い空気が好きだ。」とある。なんともいえない独特の空気感がこのアルバムにあるとは以前から思っていたことだが、それが明け方の空気であることを今回初めて知った。

購入したのは4月の終わりくらいだから、もう半年以上前になる。ご近所の澤田さんとライブ会場である神楽坂のAkagi Cafeに行ったときだ。あのときは後藤輝夫さんの率いる「ごめんね」とめぐさんの組み合わせだった。「TANE」はその頃完成した作品だ。最初に聴いたときは、驚いたというか、面白いアレンジだなと感じた。コンピューターで作られた奇妙な効果音がスタンダードなジャズに絡んでいることも独創的だ。

本当は、非常に高度な知的な意味合いがあると思う。ただ、彼女の高いインテリジェンス性を、私には到底理解できっこないと最初から諦めていた。単にプログレッシブのロックのテイストであるとか、個性的なギターのカッティングやフレーズを楽しむだけでも満足。それ以上考えることをしなかった。しかし、何度か聴いているうちに、なんとなく彼女の言いたいことが分かってきたような気がする。

うまく言えないけれど、闇の中の混沌とした世界から脱出できなくてもがいているとき、明け方のピュアな空気に晒され、癒され、そして安堵するという、明け方から太陽が昇るまでの時系列に伴う心理描写ではないかと思う。厳冬期の北アルプス白馬岳からひらすらご来光を待つあのときの気持ちなのだ。ん?ちょっと違うか。もっとも、そんな理屈抜きで楽しめるアルバムではある。

夜明けは始まりでもあり、闇の終わりでもある。神々が万物を創世して最初の夜明けから当たり前のように、毎日、毎日夜明けがある。単なる夜明けを、きっとめぐさんは一日の始まりの至福の時として受け止めているに違いない。まったくの誤読だろうか。ちと、無理して、アタマを使ってしまった。ま、私はこの程度しか語れない。ごめん。
(あとで、めぐさんに聞いてみよう。)

因みに、ジャケットの写真は死海だという。どういう意味があって、それを採用したのか、また、「TANE」というタイトルの意味合いもいっぺんお聞きしたと思うが、忘れてしまった。


http://fujinomegumi.com/

藤野めぐみ ウェブサイト


2007/12/7
しばざ記 359

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