「俺たち2」管理人による遠距離通勤マガジン



がんばれニッポン放送!
「まだカメさんが若い頃、『他の放送局がツブレても、最後の放送局になろうね。』と言ってたのよ。」と、元ニッポン放送のアナウンサーが語る。




4月のある午後のひととき。ベイタウンの某レストランで紅茶を飲むのは、ベイタウンにお住まいのW夫人。ご覧の通り、インテリジェンス、かつハイソな香がぷんぷん漂ってくる。それもそのはずで、ご主人は高名な病院の偉い、偉い先生でいらっしゃる。いや、ご本人とて、かつては、あのニッポン放送のアナウンサーだった。

彼女は玉置宏と一緒に朝の番組のキャスターとして活躍していた。退職後は、W氏と結婚、そして、海浜打瀬小学校のPTA会長を務めたり、現在は青少年育成委員会でご活躍などと主婦業に加えて多忙な日々をお過ごしになっている。

その彼女と私がやっと巡りあえた。やっとというのは、私の妻は小学校の関係で良くお会いしていたし、W夫妻は、ベイタウン内で講演をしたり、街の活動に深く関わっているので、有名人なのである。私が今まで存じ上げなかったのは、タイミングが悪かったのだろう。

しかし、名誉なことに、W夫人は私のことを以前から知っていてくださった。それはなにかというと、お嬢様が御木マドカ先生のバイオリン教室に通ってらっしゃって、あるとき(もう数年前)、私が用事で御木先生に電話したときに、親子でそこにいらっしゃったらしいのだ。そう。単にそれだけのことである。

さて、そのある日、たまたま某レストランに行ったときに、ご紹介頂いたのだが、ニッポン放送のアナウンサーというだけで、猛烈に話が弾んでしまった。W夫人と同行されていた女性が私と同年代で、かなり深夜放送を聞きまくっていた方なのもあってである。W夫人とて、かつてはリスナーだったのだからニッポン放送のファンだったのである。

ニッポン放送は強かった。なんせ、私が中学生だった頃の深夜放送は、「オールナイトニッポン」しかなかった。いや、文化放送にも「セイ!ヤング」とかもっと遅い時間帯には「走れ歌謡曲」、TBSは「パックインミュージック」と各社凌ぎを削っていたのは間違いないことではある。

が、私はニッポン放送派だったし、深夜放送の代名詞はやはり「オールナイトニッポン」しかないのだ。糸居ゴロウさん、アンコウさん、イマニのてっちゃん、そしてカメちゃん、どのパーソナリティも素晴らしかった。ニッポン放送の送信所が私の実家の近所にあったのも要因のひとつかもしれない。文化放送は、アジアン系の放送と混信していたし、いい加減な安物のラジオだと文化放送にニッポン放送が被ってしまうくらい電波が強かった。

そんなわけで、暫く、ニッポン放送の話題に時間を費やしていた。W夫人のお陰で、日曜の朝にやっていたロイジェームスの「不二家・歌謡ベストテン」も思い出したし。荒井由美のCFソングも思い出した。そこにいた3人で中学生や高校生の頃に思いを馳せることができた。

そして今、つくづく良かったなあと思うことは、あの時代のあの深夜放送という文化(そう、これは文化なのである)を経験できた世代だったことだ。それ以前でも、それ以降でも、あの雰囲気は無かった。私の世代以降(私が高校になってからかな。)で語り草になっているのは、谷村新司とバンバンの「天才・秀才・ばかシリーズ」であるが、深夜といえば漆黒の闇の中のイメージだったそれ以前の深夜放送と明らかに内容は異なる。

さらにその後、泉谷しげるや、鶴光や、ツービートが深夜枠に登場するのだが、あの頃は絶対に我々が聴いていた深夜放送とは異なる性質だったと断言できる。まあでも、この辺りが深夜放送の文化の限界だったのかもしれない。そして、我々も社会に出て、滅多なことで中波放送を聴かなくなってしまった。

さて、現在、例のホリエモンによるニッポン放送の危機が訪れ、結果はフジがニッポン放送を完全子会社化することで落ち着いてはいるが、どちらにしても中波放送ってのはぱっとしないメディアになってしまったのは間違いない。私も仕事でクルマを使うときには、ラジオを聴くけど、でもまあ聴いても文化放送の「吉田照美のやる気まんまん」だし、すっかりニッポン放送は聴かない。せいぜい、テレビが終わった後のジャイアンツ戦くらいか。

でも、でも、なにもインターネットと融合しなくても、中波放送の可能性が無くなってしまったわけではなく、きっとどこかに起死回生のホームランが打てるような何かがあるのだと思う。なんてったって、「吉田照美の・・」にしても、あの時間帯の番組にしたら相当凄い聴取率を上げてるわけで、そこにヒントも隠されているのだろう。ま、なんにしろ元ニッポン放送のファンとしては頑張ってほしいのだ。

2005/4/26

しばざ記 Vol.113

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