「俺たち2」管理人による遠距離電車マガジン

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- 俺達フラッシュ より -
気鋭の彫刻家・伊藤哲一の彫刻展
石のぬくもりを感じてください




奇妙な形をした大きな石の塊がギャラリーKIKIに運び込まれている。
これらは、9月3日から開催される伊藤哲一の作品。
東京芸術大学美術部彫刻科を卒業。現在同大学院在学。2000年より毎年グループ展を開催。
今回は、彼にとって初の個展となる。

写真は、「道化の靴」。
伊藤が頭の中で膨らませた極めて抽象的だが、立体化したら面白いと思ったもの(形)を現実に形として彫り出してゆく過程で、道化、つまりピエロの靴のイメージがはっきりと脳裏に浮かび、そのイメージを本能の導くまま具現化したものがこの作品なのだ。




とてつもなく重いので、ご覧のように数人がかりで運搬する。
作業は慎重かつスピーディーに行われている。
慣れているのもあるけれど、基本的に器用なんだなあと思う次第。



持ち上げているのはなんと鯰(なまず)。
石の鯰なのだ。

愛嬌のある顔をした鯰だ。



この人が伊藤哲一。
どうもこういう姿を見ていると芸術家というより、
内装工事のお兄さんといった風情だ。

ひょっとして彫刻というのは、ガテン系じゃないと出来ない芸術なのかもしれないね。
いや、ほんと。



ギャラリーKIKIのショーウィンドウに貼り出された鯰の絵。
遠くからでも目立つ。
かなりのインパクトだ。
1番街のビレバンに飾ってあるジョンレノンに匹敵する。

鯰というユーモラスな対象を作品にするというのは、心憎い。
伊藤の奥行の深さ、引き出しの多さを感じる。



本来なら無機質な石との対話によって、
温かみのある作品に仕上げる。

彼は石に語りかけながら彫る。
石はそんな彼に語りかけてくるのだという。
不思議だけど、凡人の私にも分かるような気がする。



元々、絵や工作が好きでした。
彫刻家になろうと思ったのは、思い浮かべたイメージをより具体的に表現するのは、絵よりも立体的な彫刻だと思ったんですよ。また、石を素材にしたのは、大変な労力を要するからなんです。結構大変なことって、好きなんですね。汗をかくのも好きです。石って思うように行かない、なかなか自由にゆかない。そんなところが素材を石にした動機ですかねえ。
(伊藤哲一)



伊藤哲一彫刻展は、9月3日(金)から9月9日(木)までギャラリーKIKIで開催。入場無料なので、この機会に是非お越しください。 

 ギャラリーKIKI
 千葉市美浜区打瀬2−16
 パティオス17番街 1階
 Tel: 043-296-1258
 >>Mail to Gallery KIKI
 Open 11:00〜19:00 月曜日・火曜日休廊



イベント開催中は、船橋の自宅から毎日原付バイクで会場入りします。
「なんでも気軽に質問してください。」

うーむ、上の写真を見る限り、やはり芸術家には見えない。
むしろ、そば屋の出前のお兄さん的だ。(笑)


>>> ――たまにはしゃべってみようじゃないか!
彫刻家・伊藤哲一について語る
杉本 隆久(現象学者・詩人)



2004/9/2 Oretachi HP
しばざ記 Vol.87-2


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