「俺たち2」管理人による遠距離電車マガジン

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煮干くんの死

煮干くんは、我が家で飼っているメダカ。
半年前くらいに、メダカの水槽を掃除しようと徐々に水を減らしていったら、底に細長いドジョウのようなものが横たわっていて、死んでいるようだったので、すくって捨てようと思ったら、なんとそれは生きていて、よたよたと逃げるではないか。
なな、なんだ、そりゃ、ってんで、捕まえてみたら、それはメダカだっただ。
まるで骨と皮のようなメダカで、煮干のような感じなのだ。

30匹くらいメダカがいて、いつ頃からそいつがそうなってしまったのかまったく分からなかった。なんかの病気なのか、まともに泳げない。

それでも、餌をやると、なんとか水面までよじ登ってきて、ぱくっとくわえると、再び水の底に落ちてゆく、そう、泳ぐというより落ちてゆく感じなのだ。

そんな調子で、その煮干くんは半年も生きていた。いつもは、横たわっていて、ぴくりともしない。餌をやるときだけ、水面に上がってくる。ただ、周囲のすばしっこいメダカが餌を全部食べてしまうので、ヒット率は低かったようである。

この数日、新潟の山小屋に籠るために家を留守にした。メダカのことが気になっていたことは確かだけど、出掛けるときにたっぷり餌をやるしか思いつかなかったので、そうして暫く放っておいたのだが、昨日戻ってきて、水槽を覗いたら、煮干くんは死んでいた。

底に沈んでいるのも、ピクリとも動かないことも、いつもの煮干くんと全く変わらないのだが、藻が絡んでいたので、ひょっとしたら、と思ったのだ。

煮干くんは安らかな眠りについていた。私が家を空けたのがまずかったのだ。それよりも、もうちょっと適切な処置をして出掛けるべきだったのか。

いずれにしても、頑張っていた煮干くんは死んでしまった。煮干くんがよたよた餌を獲りにゆく姿を毎日眺めていた息子はまだ煮干くんの死を知らない。数ヶ月前に死んだザリガニを大切に墓を作って埋めていることもあり、この煮干くんも息子の手で土に帰るのだろうか。

2004/5/5

しばざ記 Vol.70


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