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 実は私の職場にはクーラー(エアコン)が無い。
 天然の風をそよそよと入れ、そして縦型の扇風機をブーンと回して涼を取っている。ま、でも、風通しがいいので、そんなに暑くは感じない。やせ我慢というのもある。(痩せてないけど。)
 三十年近く前に暮らしていた都内のアパートなんて、西日がガンガンで、室温は常に30度を超えていて、とても部屋に居られる状態じゃなかった。それに比べりゃ天国だ。ヘタにクーラーの効いた部屋に居れば、外に出るのが嫌になって営業活動が出来なくなる。
 
 都内に何箇所かの飲食店を経営するF田さんとこの前電話で話した。彼はこの猛暑で仕事にならないと言って、最近事務所にクーラーを入れたらしい。事務所といっても自宅を兼ねていて、事務処理をする以外には殆ど店に居るので、滞在時間は長くないらしい。でも、何十年もクーラー無しだった事務所にクーラーを入れるというのは今年の夏がハンパじゃなく暑いってことだ。7月の猛暑は明治何年からだかの観測史上初ということだし、ロシアでも平均気温がびっくりするほど上がっているという。
 
 熱中症で亡くなっている人も多い。熱中症は何も炎天下の外でなるだけではない。家の中に居てなるケースのほうが多いらしい。家にクーラーがあって、猛暑でも室温が25度以下に保たれている家の人が亡くなるということは考え難い。であれば、何故、お年寄りが熱中症で亡くなるのだろう。答えは簡単だ。単にクーラーが無いだけだ。あるいは、電気代を惜しんでクーラーを点けないかだ。暑くて寝られない、食欲が無い、だるい、そして段々弱ってゆく。
 
 お年寄りでも何不自由なく暮らしている人が熱中症になるなんてあまり考えられない。即ち、経済力が生死を分けていると言っても過言ではない。これからどんどんそうなる。金持ちはどんどんクーラーで室温を下げ、その排気でどんどん世間は暑くなる。都内の密集地帯ではおそらく千葉よりも1〜2度高いと思う。クーラーの無い家の人が熱中症にならないわけがない。貧乏人はせいぜい公園の木陰に座って幾分涼しくなるのを待つしか手立ては無い。
 
 テレビのニュースでも盛んに「熱中症に注意しましょう。」なんて言っているけれど、クーラーでギンギンに冷えたスタジオから言われてもまったくリアリティのかけらも無い。それよりも、経済弱者に、涼しく過ごせる環境を社会が与えてあげるか、涼しいところでお年寄りが過ごせるようなシステム(無料で過ごせる施設などをつくる等)をつくってあげることが大事じゃないのかと思うのだ。
 
 2010.8.3
 
 
 
 
 [追記]
 
 そうそう、「クーラーが無い」で、思い出した。かつて私が勤めていた某社は、入社(中途)した数年は営業のクルマにエアコンが無かった。夏、風を切って走っているときは良かったけれど、首都高で渋滞にハマるとたいへん。蒸し風呂状態。今から20年前の話。その頃だってカーエアコンの普及率はおそらく90パーセント以上(北海道を除く)だったと思う。暑いのもそうだけど、首都高で窓を全開にしていること事態がみっともなくて、それが嫌だった。
 
 どういうつもりで営業車にエアコンを入れてなかったのか、それは節約なのかどうか分からないけれど、少なくとも営業マンがお客さんのところに汗びっしょりになって行って、好感を持たれるかといえば、その逆で、暑っ苦しいと言われただけだった。更に、エアコンの無いクルマに我慢して乗っていたことが今日、何の教訓にもなっていない。それはそのときもそう思った。将来絶対にいい想い出にならないって。その通りだった。
 
 世の中、そんな理不尽なことが多すぎる。いや、その頃からあの会社はエコを考えていたのかもしれない。なんちゃって。それなら役員がヌケヌケとエアコンのばっちり効いている高級車を乗り回すなよな。ったく。
 
 2010.8.4
 
 
              
                
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                                    |  | 2010/8/4 しばざ記 881-HP版
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