「俺たち2」管理人による戯言
しばざ記(最新インデックス) しばざ記(INDEX-06)   俺たちのHP(パート2)

お客様同士のトラブルにより・・・
たまに、そんなアナウンスが流れ、電車がストップすることがある。



その日の深夜のベイタウン。クルマが一台も無いのですっきりしている!


急いでいるときに限って、電車のトラブルがある。信号機の故障、車両故障、人身事故、風雨が激しいので運転を見合わせ、線路内にお客様が立ち入ったため、などなど、様々な理由で電車が遅れる。時には、「え〜、只今、お客様同士のトラブルがあったため、電車の発車を見合わせております。」というアナウンスが流れ、駅に止まったまま、電車が動かなくなってしまう。

いったい、そりゃ、なんだ。簡単に言えば、喧嘩なのだろう。だが、そういうトラブルが発生した電車に乗っていたことがあっても、その現場にいたことがない。幸か不幸か、先週、その現場に居合わせた。それは夜11時を過ぎた地下鉄東西線。東陽町の駅だったか、私の乗った同じ車両のドア付近で一人の男が叫んでいる。周囲はややざわついた感じ。

私はそのときドアから割合近いところにいた。しかし、その男までの距離約3mくらいの間には残業でへとへとになった人、同僚と一杯ひっかけてきた人などが結構すし詰めの状態で、声のする方向を見ても、該当する男の姿は見えなかった。男は更に叫んでいる。

「おい。降りろよ。なんだ、笑ってるんじゃない。降りて、俺と話をしろ。」ともう一人の誰かわからない人物に怒鳴っている。かなり怒っている感じだ。異常を察知したのか、電車のドアが発車時刻になっても閉まらない。

「あんた一人で降りたらどうなの。ほら、この人、嫌がってるじゃないの!」とおそらく近くにいた人が叫ぶ。今度は、少し離れたところから「そうだ、そうだ!」と言う声。「なにやってんだよ。終バスに乗り遅れるから早くしろよ。」という声もした。

そして、例の車内放送。
「只今、お客様同士のトラブルが発生いたしました。」
駅員が二人、ドアの辺りにいるようだ。

「どうしましたか?」と駅員。

男は駅員の質問には答えない。そのうち、隙間から、ドアから半分外に身を乗り出している中年男の顔が見えた。あいつだ。それにしても、中肉中背で、顔も別段喧嘩早いって感じじゃないし、いや、ごくごく普通のおやじなのだ。いかにもサラリーマンという格好。ネクタイはしていなかった。しかし、猛烈に怒っている。鬼のような形相だ。あまり怖くないのが幸い。むしろ滑稽かもしれない。

駅員が、その怒っている人ではなく、もう一人の当事者に、「申し訳ないのですが、お客さんも一緒に降りてくださいよ。そうしないと電車をスタートできないのです。」と言った。少し沈黙。

すると、電車の中から一斉に、「何言ってんだよ。そいつだけ降ろして、スタートしやがれ!」という怒号。「あのね、一緒に降ろしたら、この人たち喧嘩になるよ。駅員さんは何考えてるんですか?」とまた別の声。ここで再び例のアナウンス。

「え〜、只今お客様同士のトラブルにより・・・。」

ええい、聞き飽きたから、早いところスタートしやがれ!

2007/9/3
しばざ記 289

▲このページの先頭へ


<<< 前の記事
次の記事 >>>
俺たちのホームページ パート2へ