ベイタウン唯一の科学研究機関
- 第17話 -   出演:ゲソ博士 聞き手:助手のザクソン


テレビ(お笑い)を語る

ザク:前々回のラーメン談議の中でも触れてましたけど、博士はテレビ番組に対して相当なお怒りを持っていらっしゃるようです。そこで、今回のテーマはテレビに関するあらゆることです。メディアとしてのテレビのあり方、例えば、役割とか、倫理について、視聴率至上主義に対してのご意見や、番組に対してのご意見、あるいは、受像機そのもの、つまりハードに関することでも構いません。最近流行のプラズマテレビとか、地上波デジタル放送のこととか。今後の動向についても語って頂ければ、幸いです。
ゲソ:よく喋る男だな君は。いつになったら私が喋れるんだ。
ザク:失礼つかまつりました。と、いうことで、なんでも構わないので、ぶちまけてください。
ゲソ:んー、漠然としてるな。テレビについて語ればいいのだな。なにから行こうか。
ザク:お怒りのヤラセについてから、は?
ゲソ:だいたい前々回もナゲ博士が言ってたが、ヤラセが横行しとる。視聴者も甘やかし過ぎだな。作り手も受手もともにレベルが低過ぎる。話す気にもならなんよ。
ザク:博士のおっしゃること、ごもっともです。私ですら低俗番組ばかりで見たくもない。
ゲソ:まじめな番組でもつまらんお笑いのタレントが司会をやってるしな。何故ここでオチがあるのかと首を傾げてしまう場面があまりにも多い。なんでもかんでも視聴者が笑ってくれると勘違いも甚だしい。一方、お笑い番組にしても、笑いの質が低レベル化していることは明らかだな。なにも高尚なギャグを言えというんじゃなくて、低俗なギャグでも下品なオチでも構わんが、面白くやれってことだ。
ザク:お笑いについては私も疑問を感じることが多いですよ。ネタも使い古したものばかりですしね。トーク番組なんて、特に最低。内輪ネタで盛り上げようったって、その手はすっかり飽きた。ほんとはまったく面白く無いタレントがさも「実はめちゃくちゃお茶目でーす!」なんておどけてみても、不快なだけで、寒気すら感じますよ。
ゲソ:私もトーク番組は嫌いでね。紳介が別に嫌いだというわけじゃないのだが、「徹子の部屋」のようにある程度きちんとしたものならいいが。
ザク:NHKっぽいのがいいんですか?
ゲソ:全然違う。NHK的な当たり障りの無い、という意味じゃないぞ。へたな猿芝居でお茶濁ししているくらいなら、極めて真面目にやれということだ。そこのところ気をつけてくれ。ただ、NHKもバカにできない。教育テレビの比較的深夜にやる若者向けの対談番組などはサブカルチャー的な人物も登場するし、なかなか辛辣な質問もぶつけるし、下手に仕組んだ笑いの民放よりも面白い。
ザク:「朝まで生テレビ」という路線は如何でしょうか。
ゲソ:最近観てないが、以前は好きな番組だったよ。だが、当時の論客とは世代の異なる、つまりだいぶ価値観が異なる若造が多くなってきて、どうもついてゆけんな。田原総一郎もずいぶん歳をとってきたという感じが否めんしな。
ザク:ずいぶん年寄りじみたことをおっしゃいますなあ。
ゲソ:ふん。君に言われる筋合いは無い。若者にはそれなりの素晴らしい思考能力や創造力がある。いくら私が頭がいいと言われても、若者にはかなわない。
ザク:あれ?博士が頭いいなんて、誰がそう言ってます?い、いや、私ももちろん博士の博識ぶりは認めるところですが。
ゲソ:失礼なことを言う奴だな。君が認めるというのはどういうことだ。君なんぞに認められていようがいまいが、世間から私は尊敬されているはずだ。平成のガリレオと言えば、即ち私のことだ。
ザク:し、失礼。おっしゃるとおりです。
ゲソ:ま、確かに頭がいいという漠然とした言い方ではなくて、博識だとか、回転が早いとか、創造力が豊か、そういうことなのだがな。
ザク:はい、おっしゃるとおりで。しかし、松尾貴史の「朝までナメてれば」は面白かったなあ。いや、こちらのこと。で、博士は結局、トーク番組は嫌いなのですね。
ゲソ:ああ、低能なゲストの価値観を押しつけられるようでな。インタビューする側も単に持ち上げてるだけだ。なかには30分ずっと戯言を言い合ってるものもある。実にくだらん。だったら単純なお笑い番組のほうがどれだけマシか。
ザク:「とんねるず」とか「ダウンタウン」、「ウンナン」、「ロンドンブーツ」や「ナイナイ」が、やってるような番組ですか?
ゲソ:違う、違う。あいつらはもう終わった奴等だ。私が求めるのは、バラエティ番組に支えられているような輩ではなく、ちゃんと「お笑い」という文化に真摯に取り組んでいる者だ。
ザク:難しいでしょうね。それじゃ生計が立てられない。
ゲソ:うむ。確かにな。「お笑い」は食べ物の好き嫌いのように個人の好みがあるからな。単純に「いい笑い」と、「悪い笑い」という分類も出来ない。せっかくいいものを持っていても、受け手側のレベルが低けりゃ、まったく意味が無い。今の世の中、きちんと「お笑い」を理解出来る人間が少なくなってしまった。誰か啓蒙活動をしなくてはいかんな。
ザク:ゲソ博士はお笑いにも造詣が深いとはお聞きしておりましたが、しかし、科学者ともあろう人がお笑いのどこに惹かれるのですか?
ゲソ:失礼だな。このセンス溢れるトークを聞いていて何も感じなかったのか。私は常にお笑いも研究しているのだぞ。
ザク:はあ。分かりました。お笑いはちょっと置いといて、テレビ論なんですが、ほかになにかありますか?
ゲソ:CMの入り方だな。番組がスポンサーで成り立っているから仕方ないわけだが、「あと何秒で衝撃のシーン」とか、「正解はCMの後で!」などと大げさなナレーションが入るやつ。あれ、アタマに来る。
ザク:ああ、それって誰でもアタマに来てますよ。
ゲソ:ご丁寧にCM後も何度もリプレイしやがってよ!けっ!
ザク:そこまでお怒りにならなくたって。
ゲソ:冗談じゃない。貴重な時間が無駄になるのだぞ。もっと他のやり方は無いのかと思うよ。
ザク:CMのほうが余程オモシロイ時もありますしね。
ゲソ:君もそう思うかね。そうだろうな。テレビで流れているCFは、優秀な頭脳を集めて、アイディア出し合い、一流のスタッフで制作しているのだよ。優秀なクリエーターが本来持っている力量が如何無く発揮されているものは凄い。しかし、クライアントが思い切りつまらなくさせているものも多い。わけの分からん社長が口出しし過ぎて、てなやつだな。プロデューサーも単なる太鼓持ちに徹していることが多いな。
ザク:番組もスポンサーがお金を出している以上はクライアントからの要望もあるでしょうね。クライアントは番組の内容に突っ込まないのですか?
ゲソ:そりゃ、あるさ。民放はスポンサーが金を出して成り立ってるわけだからな。基本的には、「こういう番組を作るから、スポンサーにならないか?」と、企画を持って営業をかけるのだが、ターゲットになるスポンサーをある程度意識しとらんとな。
ザク:じゃあ、博士がおっしゃる「つまらない番組」が多いというのはどういうことなんでしょうね。クライアントを意識し過ぎて、すなわち視聴率至上主義だから、ですか?
ゲソ:どういうことなんだろうな。どこに制作費が消えているのか知らないが、実にレベルが低い。まさか、制作費の大半が接待なんてことはないだろうけど、だいたいテレビ業界は向上心が無さ過ぎるぞ。その例が人気のあるタレントを使えばそれで番組が良くなるという考え方だ。いったいプロデューサーは何考えている。番組をクリエートするのがプロデューサーの役割なんじゃないか?
ザク:ともすれば、人気タレントのブッキングだけがプロデューサーの仕事のようになってきてますよね。
ゲソ:人気タレントの起用はそれなりの視聴率が稼げるし、金はかかるが、人気タレントのキャラクターに任せとけば、本来の意味でのプロデュースもしなくていいしな。
ザク:人気タレント無しでオモシロイ番組を作れればいいんですよね。
ゲソ:そう。だが、今のプロデューサーにそんな力量は無い。有名タレントを使い、そいつらからチヤホヤされて、それがまたステイタスに繋がって、若い奴等からペコペコされる。業界のヒエラルキーはそんな感じだ。だいたい、番組を作っているということに偉さは無いのだ。周囲に群がってる奴は金にぺこぺこしてるだけなのだよ。
ザク:有名タレントでも、その人の魅力を120パーセント引き出せればいいのですよね。どうです?
ゲソ:それなら納得する。
ザク: 出演者の質が高く内容も良くて、というのは最高ですよね。
ゲソ:なにが最高だか分からんが。質の高さを誰が判定するかによっても異なる。単に視聴率が高いというのと、内容がいい、というのは明かに違うな。尺度の問題だろう。かといって、教科書のような「かちっとした」のがいいと思っている輩もいるからな。この辺は難しい。
ザク:難しいでしょうね。視聴者側は好き勝手に観ているのだし。第一、好き嫌いで全部片付けられてしまいそうです。
ゲソ:そりゃ仕方無いな。テレビを娯楽という側面だけで捉えれば、嫌いな奴が出るより好きな奴を観ていたほうがいいだろうし、内容にしても、好きな作り、嫌いな作りがあって然るわけだからな。かといって、最大公約数を取ってできるだけ万人にウケる作りをしていればいいかといえば、そうじゃないところが難しい。誰にでもウケる、ということは言い方を換えれば、どうでもいい、つまり、物凄くツマラナイものということになる。テレビは娯楽性だけじゃなくて、報道という役割もあるわけだし、教育という役割も背負っている重要な媒体だ。こどもにとっては、学校よりもテレビから学ぶことが多いはずだよ。だから質が問われるのだ。
ザク:なるほど。教育という観点から見ると、害のある番組が多いような気がします。
ゲソ:君の言う害がどんなものかは分からないが、長いものに巻かれろ主義を押し付けるような番組のことを言っているのか、くだらない番組全般を指すのか、まさか毒という意味で使っていたら大間違いだ。人畜無害な番組こそ最悪だからな。なにも当たり障りのないことばかりやるというのが教育じゃない。個性を伸ばせる、創造性を豊かにする番組が求められている。但し、個性というのも難しいがね。個性個性と言いながら、結局は企業の言いなりにするような画一的な教育をテレビはしている。こどもや若い者はそれにすぐ騙される。そうじゃないだろう?なんでも疑えるのが教育だと私は思うのだがね。
ザク: 博士がおっしゃる毒も行き過ぎるとマズイのでは?私が言った害があるというのは、例えばですね、退廃的なものとか。アンニュイなものがかっこいいみたいな、そんなものが流行っているような気がしますが、どうでしょう。まじめにやらないよいうのを、単にかっこいいことだと捉えて、若者が働かなくなる。親を馬鹿にし、社会を舐めて、ウケた、ウケない、というのだけに悲哀を感じるような番組ですよ。
ゲソ:お、君もずいぶん的を射てきたな。そう、それは言えるな。サブカルチャーを言いながら、本当のカルチャーを知らないヒヨッコが得意気に芸術家気取りでいやがる。
ザク:就業しない若者が増えているのは案外テレビのせいかもしれませんよ。
ゲソ:確かにな。それと親がちゃんと教育しなくなった。
ザク:我々貧乏暇無しのサラリーマンはこどもと接する時間も無いですしね。
ゲソ:哀れなもんよのう。
ザク:ところで博士の求める番組というのは、じゃあ、いったいどんなテレビなんですか?
ゲソ:そうだな。強いて言えば、"くすりっ"と笑えるやつだな。この「くすり」というのが微妙だ。
ザク:なんか難しいですね。そういう状況は時々ありますけどね。
ゲソ:ザクソン君ね、私はあらゆる芸の中で「お笑い」というのが一番難しいと思うのだよ。ギャラが安いのかもしれんが、全く面白くもない何も芸の無いお笑いタレントをずらりと並べて、そいつらにアドリブまがいに喋らせておくようなバラエティ番組こそこの世の害毒だと思うんだな。そんなのやめちまえ。
ザク:博士の理想のお笑い番組って、ひょっとして「大正テレビ寄席」みたいなものですか?
ゲソ:それは好きだったな。今の若いお笑いタレント連中はどれもツマラナイからあんまりテレビを観てない。
ザク:どういうところがですか?
ゲソ:笑いを強要しとる。
ザク:強要ですか?笑うも笑わないも視聴者の自由という気がします。
ゲソ:そうじゃない。どうしても笑わないとならない状況に持っていってるわけだ。笑いに対しての低レベルの人間を会場に集めて、オーバーにいつまでも笑わしておく。一種の脅迫だよ。
ザク:大げさですね。それから、先ほど「アドリブまがい」ということをおっしゃいましたが、どういうことでしょう。アドリブも一種の芸でしょう?
ゲソ:確かに。状況をきっちり把握し、的確なアドリブが出来る頭の回転の良さがないとな。
ザク:そう言われてみれば、アドリブのギャグと言っても、単なる言葉遊びに終始しているケースが多いですものね。
ゲソ:そう。言葉の面白さはある程度重要だが、語尾を変化させたり、やたらと叫ぶだけのものが多いな。
ザク:具体的に言えば、例えばですよ、ダンディ坂野とか?
ゲソ:「ゲッツ!」って言うやつか?節操の無いところが売りなんだろうけど、いいかげん飽きたな。だが彼は間の取り方などは研究してるよ。「爆笑問題」の太田がボケかますときの、ちょっとした間合い、ああいう落語的な間というのは重要だ。
ザク:落語の間の取り方って、凄いですよね。名人は「間」だけで笑わせてます。
ゲソ:その通りだな。個人的には先代の古々亭志ん朝や、桂文治の間の取り方が好きだな。残念ながら他界した枝雀も好きだった。
ザク:もったいないことしましたね。若手の落語家で凄いのって、小朝とか、こぶ平ですかね。でも彼らだってそこそこの歳になってきてしまいましたね。
ゲソ:ザクソン君、今日はテレビに関する議論ではなかったかね。どうもお笑いの方面に行ったきり元に戻らんが。
ザク:そうでした。しかし、お笑いに造詣の深い博士のお話はもう少しお聞きしたいと思うのですよ。たぶん、読者の皆様も同様かと。
ゲソ:おだてても無駄だ。だが、君もお笑いに詳しいのか?
ザク:好きですよ。博士と同じですが、どうも若い世代には馴染めないのですが。
ゲソ:そうだろう?
ザク:「ウっちゃんナンちゃん」とか、「ダチョウ倶楽部」、「ダウンタウン」あたりが限界ですかね。「品川庄司」とか、「雨上がり決死隊」、「極楽とんぼ」なんて論外。吉本も粗製乱造モードに入ってるんですかね。いい加減にしないと、業界全体を滅ぼしかねない。
ゲソ:私はツービート以降の漫才ブーム辺りが限界かな。だからそれ以降はどうもな。
ザク:その辺りって、「B&B」、「ザ・ぼんち」、「紳介・竜介」、「オール阪神巨人」、「大介・花子」、「中田カウスボタン」、「今いくよ・くるよ」、「コント赤信号」、などなど色々ありましたね。
ゲソ:まあな。それらがどれも凄かったというわけではないがな。ま、確かに勢いがあったな。だが、漫才だったら、そうだな、私はそのブームの前が好きなのだ。関東では「瀬戸わんや・獅子てんや」とか。関西だったら「やすし・きよし」とかな。
ザク:わあ、古典的ですね。
ゲソ:そうだ。漫才ブーム以降はなんとなく、時代にたまたま乗かってるだけ、って気がするんだよな。本来の芸とは別の、一発ギャグが当たれば、それだけってな感じの。
ザク:それは言えますね。漫才は喋りが基本なのに、内容がまったく面白くないのに、ヘンにでかい声張り上げてギャグかませばいいと思っている傾向ですよね。
ゲソ:だが、時代がそれを求めている時は妙にオモシロイ。「西川のりお」なんて、「ツクツクボーシ」って叫んでいただけなのに面白かった。今の考えりゃ、単にうるさいだけだけどな。
ザク:「おさむちゃんでーす!」というのは?
ゲソ:あれもうるさいだけだ。私は当時から好かん奴だった。
ザク:「もみじまんじゅう!!」というのは。
ゲソ:同じ類だな。だが、逆に今やったほうが、時代錯誤も甚だしくてかえって面白いかもな。
ザク:「ぱーでんねん。」というのは?
ゲソ:しつこいな、君も。さんまのギャグか。好きじゃないな。ありゃ、お笑いじゃない。好感度ナンバーワンなんだろうが、お笑いはナンバーワンになっては駄目だ。むしろ嫌われるくらいにならんとな。女こどもにウケがいいと、すぐにああなってしまう、あの笑いが正しいとしたら、日本のお笑いに未来は無い。
ザク:そんなものですかねえ。
ゲソ:逆に言えば、クレージーキャッツや漫才ブーム前の吉本新喜劇がいかに凄かったか、っちゅうことだ。
ザク:なるほどね。欽ちゃんなんてどうですか?
ゲソ:世に出た時が一番花だったな。適当に毒もあったしな。「わらべ」とか「コニタン」などが出てファミリー路線に走ったから全然笑えなくなった。以前はラジオでやってたんだよ。ラジオの時代のほうが面白かった。なんでもそうだな。吉本新喜劇にしても、関西だけで盛り上がっていた頃のほうが圧倒的に面白かったしな。上方の漫才や落語だってそうだ。大阪や京都のラジオから流れてくる笑いは関東モンには分からないネイティヴな可笑しさがあった。
ザク:そう言われるとタモリもそうですね。今、ファミリーチックになってしまいましたが、当初はアングラという感じでしたよね。
ゲソ:そうだな。四カ国語麻雀は笑ったな。彼は怪しさが良かったのだ。タモリ倶楽部で若干の片鱗をかいま見ることは出来るがな。「笑っていいとも」なんて惰性でやってんだろ。その前身の「笑ってる場合ですよ」のほうがずっとオモシロイ。
ザク:「たけし」はどうでしょう。
ゲソ:今や文化人だからな。才能はあるし、魅力もあるが、オモシロイという路線ではなくなったな。ツービートで寄席に出ていた時のほうが圧倒的に凄かった。偶然だがな、まったく無名の時に見たぞ。凄い漫才をやるなあと感心した。あの時代、特定の人間や特定の世代をバカにしたネタは本来ご法度だったのにな、サラリとやっていた。早朝のラジオでも一度流れていて、こりゃ絶対にテレビやラジオ向きじゃないな、と思ったよ。いわゆる悪口を言う漫才なのだ。だが、裏を返せば、みんな悪口が好きなんだな。
ザク:おばあちゃんをネタにしたりしたものですね。「毒蝮三太夫」などの系統でしょうか。
ゲソ:タイプは似てるが、似て異なるものだよ。ツービートがおそらく現代の笑いの基本を作ったと私は思っているがな。
ザク:ドリフとかドンキーカルテットはどうですか?
ゲソ:私は音楽家だからな、バンドものはどちらも好きだよ。ドリフはその後、こども向けになってしまったが、最初の頃、クレージーキャッツのような感じで面白かったな。
ザク:「玉川カルテット」とか、「モダンカンカン」、「かしまし娘」なども音楽に関係がありますね。
ゲソ:君も古いところばかり持ってくるね。このサイトをご覧の方々には理解不能かもしれんが、あの時代の色ものは良かったなあ。しみじみ。わたしゃ、「ドンキーカルテット」が好きだったな。
ザク:まったく関係無いけど、「ナース井出」というのがいましたね。
ゲソ:突拍子も無いところを言うね。そりゃ、思いつきで言ってるのだな。
ザク:すみません、脈略が無くて。もうひとつ思いつきですが、「イジリー岡田」なんていうのも思い出しました。今でも活躍してますよね。それから、「若人あきら」。今、別名でドラマに出てます。そうだ、「中村ゆうじ」もテレビに出てるな。彼は確か劇団出身だったかな。そうだ、「シティボーイズ」なんてどうですか?私は好きでしたけどね。
ゲソ:良く喋る男だなまったく。まあしかし、君もなかなかお笑い系が好きってことだね。シティボーイズはなんというか、まあ嫌いじゃなかったな。3人ともブラック系なんだな。普通、どちらかが突っ込み、どちらかがボケなんだが、彼らは皆、テンションが同じなんだ。ああいうタイプはその後も多くなってきたね。
ザク:「ダチョウ倶楽部」とか、「コント赤信号」、「ほんじゃまか」、「小柳トム」や「ばってん荒川」とか、「イエス玉川」などというピン芸はどうですかね。あるいは、「菅沼進」・・・。
ゲソ:とめどもないな。いったいテレビ論はどうなったのかね。どうもお笑いの羅列のような気がしてきたが。
ザク:いいじゃないですか。
ゲソ:まあな。つまらないテレビ論をやっているくらいなら、明るい笑いを未来に継承することが大事だ。だがな、君が続々と繰り出すお笑い芸人は80年代あたりのやつだろう?もっと、遡ったあたりに本来の芸人さんがいる。トリオ・ザ・パンチ、トリオ・スカイライン、ナンセンス・トリオ、財津一郎、小松正夫とか、由利徹、団しん也、とかな。思いつきだから本来はここで言っておかねばならない芸人さんを飛ばしてるかもしれないが。
ザク:そうでしょうね。名も無く、いつのまにかいなくなってしまった人も多いでしょうしね。また機会があったらお笑い特集でもやりましょうよ。
ゲソ:いいね。
ザク:ところで、今、博士がハマっている笑いってなんですか?
ゲソ:なんなのか分からないな。相変わらず古典落語を聞いている。お、そうだ、最近テレビで面白いと思っている芸人さんがいた。
ザク:誰ですか?
ゲソ:ほんじゃまかの石塚だ。あいつは面白い。
ザク:あ、私も好きです。今日は、妙に気が合いますね。
ゲソ:君も私も古いのかねえ。

2004/4/5 うすらば研究所 Oretachi.jp

「お笑いの研究」はとめどもない終わり方をしたので、再度「うすらば研究所」にて取り扱いたいと思います。(ザクソン)

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ドクター・ゲソ
1957年生まれ。東京○○大学卒、三流企業に勤める傍ら、「科学やってみんべよー。」というコンセプトで独自に科学の研究を重ねる。2000年、自らを科学者と名乗り独立、くだらない発明などをするが、飽きちゃったので、現在執筆活動に専念する。ベイタウン在住。大の音楽ファンで、プログレロックが大好き。磯辺の「魚よし」では必ずゲソを注文する。

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