ベイタウンの唯一の科学研究機関
出演:ゲソ博士 聞き手:助手のザクソン
現代人は頭を使わなくなった
ザク:博士。いよいよ、俺達HPのネット上での「おい、もっと科学してみろや!」が始まりますね。
ゲソ:そう。こういう企画を待っていた。現代人は賢くなった反面、考えることをしなくなった。この機会に俺達HPをご覧の皆さんは是非、考えるということをやってもらいたい。
ザク:なるほどね。考えるって重要ですね。覚えることが多くなって、知識は相当あるんだけど、思考する能力は逆に低くなった、ということですね。
ゲソ:その通り。想像力を養うこと、そして創造する。まず、何でもいいから仮説を立て、それをどう立証してゆくかがポイントだ。
ザク:なるほど、さすがにうすらばか。いや、もとい、うすらば研究所!
ゲソ:それじゃ、さっそく今日のお題に行ってみようか。
ザク:はいな!

人間は永遠の命を手に入れることが出来るか
ザク:いきなり重いテーマですね。せっかくイントロで引きつけておいて、オーディエンスがいつの間にささーっといなくなっちゃうんじゃないですか。
ゲソ:確かに。しかも、ベイタウンにあんまり関係無いかもしれない。ま、でも、ベイタウンの人間は一概に思考能力の高い人間が多いと思ってな。
ザク:何故、そう思うのですか?
ゲソ:高所得層が多いという点と、そうだな、意識してこの環境を手に入れていることかな。ベイタウンの環境を手に入れた人間は知識人である。
ザク:そんな。あんまりよく分からないけど、まあ、いいや。それで、どういう展開の話なんですか。
ゲソ:人間は20世紀になって急速に科学を発展させた。人間が地球上に誕生してからこれだけ短期間に大きな進歩を遂げたのは初めてのことだ。もちろん、それに伴い、暮らしぶりも格段に良くなるが、同時に地球環境をどんどん悪くさせた。
ザク:はい。はい。その通りです。
ゲソ:地球環境が悪化すれば、そのうち人間にしっぺ返しが来るのは、ザクソン君も承知のことだ。科学は人間の為に無ければならない。環境問題も含めてな。
ザク:なんとなく11月に開催されるエコメッセちばのことを言ってるんじゃないですか?先に行きましょう。永遠の命は可能ですか。
ゲソ:
君もせっかちだな。この間だって、せっかくコストコに行ったのに、必要なものだけ買って、さっさと帰ろうとする。あそこの本当の楽しみは、だな。まあ、いいだろう。テーマに戻ろう。これだけ科学が進歩しても、「永遠に死なない」ということを実証した科学者はいないはずだ。おそらく、理論上では可能なんだろうけど。
ザク:永遠の命か。でも、そんなの今どき誰も望んでないんじゃないっすか。
ゲソ:しかし、太古の昔から不老長寿は永遠のテーマだった。

では、ずばり死なないって有り得るんですか
ザク:手塚治虫の漫画「火の鳥」にもありましたね。
ゲソ:そう。火の鳥は私も読んで感動した。だけど、やはりあの漫画でも永遠の命なんてありゃしないことを描いている。火の鳥が永遠の命の象徴なのだが、誰もあの鳥の生き血を飲むことは出来ない。
ザク:じゃあ、ゲソ博士は永遠の命を否定しているじゃないですか。今回のテーマはこれで終わり?
ゲソ:終わりじゃないさ。最近、クローズアップされているクローンってやつを知っているだろう。いわゆるコピーのようなやつだが、DNAを研究してゆくと、永遠の命も可能になる。もっとも、細胞には寿命があってな、そのプログラムがDNAに刻まれているらしい。
ザク:あらかじめインプットされたコマンドがある時、細胞を自殺させる、ってやつですね。
ゲソ:その通りだ。だから、クローンを使ってハードのコピーを作り、そこにオリジナルの脳の中身を移せば、ずっと永遠に生きているということになる。
ザク:でも、複写でしょ。クローン技術って。オリジナルじゃないから、例えば、博士のコピーを作っても、意識が同じというわけにはいかないわけだし、昨日僕とラーメン食べて、その後、プレナのカラオケに寄ったことだって、単なるコピーには記憶として残ってない。
その通りだよ。ザクソン君。コピーが私の十八番のELPの「賢人」をスラスラ歌えるわけはないし。昨夜のカラオケは燃えたね。
ザク:そりゃ、そうですよね。博士のあの歌は筋金入りですからね。ちょっと歌詞は怪しいけど。
ゲソ:怪しいは余計だ。さて、今意識といったね。意識ってなんだろう。
ザク:記憶かな。それとも、思考回路?あるいは、思考すること、そのもの?
ゲソ:どれもが正解だろう。イギリスのサリー大学のジョンジョー・マクファデン教授(分子遺伝学)によると、人間の意識の正体は脳の細胞間の無線通信だという。いや、そんなのはどうでもいいんだが。
ザク:とにかく、博士は意識をクローン人間にコピーしちゃえばいい、ってことを言いたいんでしょ?
ゲソ:そうだ。ハードもソフトもひっくるめてコピーするわけだ。
ザク:そんなの出来ないですよ。もし、仮に実現しても、それこそ意識のコピーであって、オリジナルじゃない。例えば、ゲソ博士が死ぬ前に自分の脳みそのデータを全部そっくりクローンのほうに移しても、知識などはゲソ博士のものであっても、思考回路、つまりコマンドを出しているのはあくまでもクローンのほうですよね。
ゲソ:だから、その思考回路までもコピーしてしまうんだ。つまりアプリケーションとファイルをそっくりそのままコピペするわけだ。
ザク:なんかパソコンみたいですね。

ファイル保存、そして移植
ゲソ:可能性の問題だよ。現実的には無理そうでも、やってやれないことはない。私は人間が頭の中で考えられる殆どのことが可能だと思っている。突拍子もないこと、例えばいきなり地球の回転を止めてしまうとか、私が突然と美しい女性に変身するなんてことは、常識で考えればありえないかもしれないが、可能にする為のプログラムを考え、その為に必要な条件が揃えば不可能ではない。まあ、それは極端かもしれないけど。
ザク:ミスターマリックみたいですね。いや、よく分かりますよ。だけど、タイムマシンに乗って過去に行き、自分の過去を操作して現実を変えてしまうなんて、無理でしょうが。思いつきではいろいろと考えられけど、よくよく考えてみると無理なことが多い。
ゲソ:だから冒頭にも語ったように、仮説を設定して、それを論証すればいいわけだ。パソコンのように、脳みその中の思考回路のハードの部分とソフトの部分、そして知識などのファイルの部分を分類して考えるわけだ。論証は今のところ難しいかもしれないが、これだけ科学が進んできているので、いつかは実現してもおかしくないことだ。
ザク:なるほどね。脳みそがいわゆるパソコンで、中枢部分がさしずめCPUですね。
ゲソ:人間の脳をパソコンに例えるなどというのは実は逆で、そもそもパソコンが人間の思考回路を真似たものだよ。まあ、今のレベルでも本物の脳よりは遥かに劣るけどね。しかし、そのうち100%までとはゆかないけど、人間の脳がパソコンと何だかのインタフェイスを介してデータのやり取りが出来るようになる筈だ。例えば、花を見て綺麗だと想ったり、映画を観てうっとりしたりなどというのは、目や耳の五感機能が脳とやり取りしてそう感じるし、その記憶も脳の中のメモリに蓄積するわけだ。
ザク:インタフェイスね。難しそうですな。
ゲソ:確かに難しい。けれど、考えようによっちゃ簡単かもしれない。しかも、外部記憶装置は昔からある。
ザク:記憶媒体ってことですか。本とか写真とか。ビデオなんて。
ゲソ:そう。逆に人間の脳の記憶装置なんて、大したことない。すぐ忘れちまうし。

外部の記憶装置と脳のデータ交換
ザク:インタフェイスが問題だけど、目、耳、鼻、口、皮膚で読み取ることなく、脳と仮にパソコンが直接やり取りできれば面白いでしょうね。
ゲソ:間違いなく面白いだろうね。危険も伴うけど。
ザク:あんまり覚えておきたくないことは、ファイルを消去しちゃう。で、これはと思うようなものは修正を加えて・・・。
ゲソ:そうなんだよ。人の記憶を第3者が悪戯して変えてしまうと、そいつの人生そのものが変わってしまう。へたすると優秀な頭脳の持ち主の考えたことを大量複製してそれが出回れば、誰でもノーベル賞が貰えるくらいの理論を語れるっちゅうわけだ。もっとも、ファイルを脳の中にロードしても、CPUの能力が弱ければ、まったく無駄になってしまうし、脳のキャパの大半をそんなもので使ったら色々不具合が生じる。
ザク:昔から天才には奇行が多いって、そういうことじゃないですか?
ゲソ:む。私はおかしなことはしてないぞ。
ザク:博士のことを言ってるんじゃありませんよ。

つまり永遠の命は複製で得られる?
ザク:ところでね。ちょっと考えたんですけど、脳のキャパの問題を無視すれば、例えば猿に人間の知性を移植することも可能ですかね。
ゲソ:まあ、品性が伴うかどうかは分からないけど、不可能ではないような気がするなあ。あるいは、データの圧縮技術が進んで、小さな器にでも入るかもしれないよ。例えば、魚とか、亀とか、虫とか。
ザク:やだなあ。私の脳の中身が虫に移植されたら。
ゲソ:世界中の誰もが気づかないけど、人間の頭脳を持った毛虫なんかいたら面白い。ははは。冗談。
ザク:話を元に戻ししましょう。命の話。つまりこういうことですね。肉体は滅びても精神は永遠だ。
ゲソ:そう言っても過言じゃないでしょうな。あくまでもデータレベルだけどね。しかし、人間の体を成り立ちをもっとしっかり研究して、これもデータ化できれば、素材さえあれば本物そっくりのものも出来るのわけだ。理論上はね。
ザク:その考え方はクローンと違うんですね。
ゲソ:似たようなものだがちょっと違う。クローンはDNAがプログラムというかコマンドを出して細胞をコントロールしている。私の考えはDNAも含めて、そっくりそのまま人間をデータ化するのだ。DNAの解明どころか、細胞の素材そのもの、生命体そのものを創造するのですよ。ぎゃはは。
ザク:そのぎゃはは、ってえのは何ですか。
ゲソ:そこまでゆくと神の域だってことだな、ということですな。
ザク:ん。なるほど。考えそのものが神を冒涜しているということですね。
ゲソ:いや、冒涜はしていない。やはり神は偉大だよ。仮に理論上、人間の手で生命を創造するのが可能だとしても、仮に生命のメカニズムを100%理解したとしても、やはり神のすることを人間がやってしまっていいものかと思う。いや、ほんと。
ザク:ということは、この対談のテーマである「永遠の命」は、無理ということになるわけですね。
ゲソ:無理じゃない。可能性の問題。大いにあるが、人間の尊厳は無視できない。そういう結論に達しますね。
ザク:んー。そうきましたか。うまいまとめ方。さすが、うすらばかっ!
ゲソ:違う、違う。うすらば研究所だ。

さて、次回のテーマだが・・・
ザク:どうでした?初回から難しいテーマだったと思うんですが。
ゲソ:確かに難しい。しかし、テーマは大きいほうが良い。適当なこと言っても許されるような気がするし。
ザク:ま、それはあるでしょうな。ところで、次回のテーマはどうしましょう。今回に匹敵するくらいのとなると、宇宙は何故存在するのか、なんていうのはいかがでしょうか。
ゲソ:駄目、駄目。月以外の天体を知らないもん。火星があんなに大きく見えたことでも驚いているんだ。
ザク:これは意外ですな。じゃあ、専門の音楽のテーマは?
ゲソ:なるほど、音楽を科学してみるか。
ザク:例えば、長調は何故楽しく聞こえるか。短調は何故悲しく聞こえるか、なんていうのは?
ゲソ:それは面白い。セブンス系のくすぐったい音とか、メジャー7のふんわかした音など、人間の心理とどう関係しているのか、という感じ。

研究してほしいテーマを募集します!
ザク:でも、ゲソ博士。
ゲソ:なあに。
ザク:やっぱ、テーマは公募しましょう。
ゲソ:そうだな。あんまり手前勝手なテーマばかりやってると、すぐに飽きられてしまうからな。
ザク:そうなんですよ。と、まあ、そういうわけで、このページをご覧の方、どしどしテーマをお送りください。
ゲソ:お待ちしているのだ。

(2003/9/20 Oretachi's Home Page)

>>シリーズ2 アップしました。


ドクター・ゲソ
1957年生まれ。東京○○大学卒、三流企業に勤める傍ら、「科学やってみんべよー。」というコンセプトで独自に科学の研究を重ねる。2000年、自らを科学者と名乗り独立、くだらない発明などをするが、飽きちゃったので、現在執筆活動に専念する。ベイタウン在住。大の音楽ファンで、プログレロックが大好き。磯辺の「魚よし」では必ずゲソを注文する。

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